
取材のためにミラノ・コルティナ冬季オリンピックに向かう記者が、都心から電車やバスを乗り継いで約6時間かけて訪れたリビーニョ。その地では、モーグル女子の予選や決勝、またスノーボード男子ハーフパイプの予選が開催される予定だ。そんな中、記者がモーグルの観戦後に休憩していると、ひとりのボランティアが近づき、「Are you giapponese?」と尋ねてきた。日本人とわかると、次に尋ねたのは「TOKYO-TV?」という質問。テレビ東京のことを指しているとすぐに理解したが、そのボランティアが強く求めていたのは、彼が持っていたという「ピカチュウバッジ」だった。
取材を続ける中で、多くのボランティアがこの限定デザインのバッジを熱心に探していることが明らかになった。ピカチュウが描かれ、2026年のロゴが縫い込まれたこのバッジはレアアイテムとしての位置づけがなされ、海外のボランティアスタッフの間でも高い需要を生んでいる。バッジは、ボランティアの資料に掲載されており、みんなが手に入れるために駆け引きを始めた。「我先に」と、ダイナミックな情報戦が繰り広げられている現状だ。
このバッジの人気は、アニメの影響や交換文化によってさらに拍車がかかっている。オリンピック期間中、各国のスタッフが自国のバッジを持ち寄り、交換することで生まれるコミュニケーションの輪は、バッジ収集という新たなトレンドを生み出している。まるで、ステータスシンボルのように、多くのボランティアがバッグやIDに自らのコレクションを展示しており、その中でもピカチュウバッジは特に「プレミアもの」として注目を集めている。この文化は、SNSでも拡散し、国境を越えた交流を促進する要因となっている。
さらなる取材を進める中、記者は同じくオリンピックに参加している他のイタリア人ボランティアにも声をかけられた。「Giapponese?」という言葉は、どこでも響き渡っているようだ。ピカチュウバッジへの関心は計り知れず、自国のキャラクターたちが生み出す情熱が、この国際イベントを一層難解で魅力的にしている。
一方で、テレ東関係者に話を聞くと、やはり「そのバッジがないか」という問い合わせは頻繁に寄せられており、イベント参加者たちの間での競争の激化を示唆している。気になるその入手方法について尋ねると、「たしかに人気で、時々声をかけられますが、実は雪山にいる人は全て持ってはいない」との返答が返ってきた。このバッジを手に入れることができない無念さを感じつつ、日本のアニメ文化の影響力を再確認する記者の心境は複雑だ。
この異常な熱狂は単なるトレンドを超え、アニメと国際交流の新たな橋渡しを果たしている。ミラノの街角で、ピカチュウバッジを必死に探すボランティアたちの姿は、五輪開催という特別な瞬間を象徴しているのかもしれない。ピカチュウバッジの人気は、この国際的な舞台でどれだけの人を引き寄せ、つなげていくのか。これからの動向には目が離せない。